まずは簡単に自己紹介をさせてください。

私は5歳からテニスを始め、高校入学と共に海外のオープン試合に参加、ほぼ同時期から複数のスポーツメーカーとスポンサー契約を締結し、

プロテニスプレイヤーとして7年過ごしました。

 

怪我を機に引退しましたが、30歳位まではジュニア選手のためのコーチングもしていました。

その頃、子どもや子どもの親から受けた質問に

「どうすればプロテニスプレイヤーになれますか?」

「毎日何時間位練習したら、目標地点までテニスが上達するのでしょうか?」

といったものが多くありました。

 

気付けばテニスに夢中なお子様がいて、お子様自身も「プロになりたい!」と言っている、

わが子も錦織圭君みたいになれないかしら、いや、是非そうなってほしい!と願う方もいらっしゃると思います。

親として今何をすべきか、どう選択すべきかを悩む気持ちは、同じ子を持つ親として本当によく分かります。

 

お子様をぜひプロテニスプレイヤーに、またはプロにならなくても、

テニスを上達させて子どもの目標を達成させてあげたいあなたのために、

是非やっていただきたいことと、逆に絶対やってほしくないことをまとめてお伝えしたいと思います。

また、とっても大切な練習時間のお話もしていきます。

オンコート(コート上での練習)とオフコート(コート外での練習)についても、練習時間のお話と合わせてお伝えできればと思います。

1.これだけは必ずやってほしい3つのこと

その①:可能な限りいい練習環境を整える

まずは、何よりいい練習環境、いわゆるテニススクールを探します。

まずはお住いの地域を都道府県レベルで探し、隣の県くらいまで足を伸ばして探すのもアリでしょう。

プロを目指し始めたら、まずは最低週3日以上のレッスンで開始します。

慣れてきたら、週4日、週5日と増やしていきましょう。

私は週5日、レッスンに通っていました。レッスン時間は、少なくとも3時間以上でした。

残り二日も自分でコートを予約して、2時間程度練習していました。

 

あとスクールについては、もう一つ。

海外という選択肢をお伝えさせてください。

私は海外のスクールには入っていません。

でも、もし私が子どもをプロテニスプレイヤーにすると覚悟したならば、私の子どもは海外に行かせようと思います。

遅くとも高校入学までには日本から出て海外で頑張れる環境や素地を作ってあげたいな、と思います。

日本はせまいです。本当にせまい。

早い段階で世界を知ることは、明確な目標設定にとても有効です。

 

スクールだけではありません。

試合は最高の練習です。参加できる試合には、積極的に参加しましょう。遠くても、行きます。

ある程度本格的にやっていくと、遠征は当たり前です。

厳しい話にはなってしまいますが、遠いことを理由に躊躇するほどの中途半端な気持ちなら、今のうちに諦めまた方がいいと思います。

実力が付いて来たらATPポイントがつく大会に優先的に出場していき、ポイントを貯めましょう。

また、一流選手のプレーを見学することも、大変有効な練習です。

プロの選手のプレーを見ることで、夢も強く、確かなものになっていくでしょう。

 

お金はかかるの?って思われるかもしれません。

そうです。お金はかかります。最初は。

成績が上がれば、テニススクールは特待生扱いでレッスン料が安くなっていく場合もありますし、

開催者側から試合に呼んでもらえるようになれば、参加費用がかからない場合もあるでしょう。

交通費や宿泊費を節約するため、選手友達と同室のホテルに泊まったり、車で移動や宿泊するお家もあります。

そうやって皆、自身の腕を磨いていきます。

 

その②:子どもの基礎運動神経を上げる

テニスに必要な運動神経は何だと思いますか?

まずは瞬発力持久力リズム感。加えて動体視力もとても大切です。

テニスの練習だけで体を鍛えていくと、利き手によって、筋肉のバランスが極端に悪くなります。

例えばスイミングに通わせるなどで、基礎体力や持久力、体幹を鍛えます。

スイミングは水中運動なので、陸上よりも関節への負担も軽減されますし、お勧めです。

さらに、リトミックやダンス、ピアノなので、リズム感を鍛えるのも必要でしょう。

お子様が小さい頃から、上記をポイントに玩具を探して、遊びとして鍛えていきます。

もしお子様が中学生等大きくなっていても、お子様自身に必要性を説き、自ら考え鍛えさせます。

本当に強くなりたいと本人が思うのならば「やりなさい」なんて言わなくても、自分で進んでトレーニングするはずです。

 

その③:子どもの体のメンテナンス

親がしてあげられることは限られています。

練習環境を整え、送り出し、家庭内でできるトレーニング材料を提供してあげる

でも、それだけではありません。

「食事」、これが超重要です。

人間の体は食べたもので作られます。

これを重々肝に銘じていただきたいと思います。

まずは、肉!とにかく肉をたらふく食べさせてください。タンパク質をガンガンとる必要があります。

そして、体の回復のためにクエン酸も大量に必要です。

ビタミンもミネラルも必要ですし、持久力のために、炭水化物も必要です。

練習生は一般の人と違い、年中真夏並みに汗をかきます。塩分も採らなければなりません。

私の場合、練習の合間のおやつは、塩の効いたおにぎりでした。

三食の食事とは別に、午前中におにぎり2個、午後にも2個、夜の練習があるときは夜の練習前に2個食べていました。

練習後には肉・魚・大豆製品をとにかく食べまくっていました。

「食べることも練習」と、よく言われます。

親がしてあげられることは、いかにお子様が苦痛感なく、必要な栄養を採れるかに注力し、提供できるか、という事です。

管理栄養士の資格を取ってサポートしている親も沢山います。

個人的には、サプリなどを利用するのもありだと思います。

 

2.絶対やってほしくない3つのこと

その①:レッスンに口出しをする、またはわが子にテニスを教える

子どものテニス上達に熱心な親、特にテニス経験者の親がやりがちな最大のミスがこれです。

テニスコーチ経験者の親なども、このミスを犯す親が本当に多いです。

ジュニアのトップ選手のコーチングを経験した私が、誤解を恐れず勇気を持って伝えさせていただきたいことは、

「分かっているつもりの一般のテニスコーチ、ただ学生時代に全国を経験したに過ぎないテニス経験者は、テニス理論、スポーツ方法学、心理学等、全てにおいて全然分かっていない」

という事です。

オンコートの練習や、自主練に対する意見やアドバイスは、お子様には厳に慎んでください。

口を出せば出すほど上達から遠ざかり、怪我をします。

選手の体はあなたのものではありません。絶対に傷つけないでいただきたいと思います。

怪我は命取りです。

大きな怪我だけではありません。

治る怪我であっても、必ず体に負の影響が蓄積し、時限爆弾のようにある日突然、体がダメになるんです。ケガは本当に恐ろしい

これは経験した事がある人でなければ分からない感覚です。

私は既に40歳近くの年齢になり、テニスラケットを握らなくなって10年程経ちますが、肉離れを繰り返した足の筋肉には常に違和感があり、

右手首は電車のつり革をつかめない程簡単に関節が外れます。腰痛とも毎日戦っています。

足首もボロボロで、ヒールを履けるようになったのも、テニスをやめて数年後です。

一生体の痛みと共に生きていくんだな、と覚悟しています。

思うことがあるのならば、お子様ではなく、コーチに確認してください。

一流のコーチならば、明確な回答をくれるでしょう。

 

その②:子どもの可能性を否定する

子どもがチャレンジしていることに対して「どうせ出来ない、それは無理」と否定していませんか。

テニスに限らず、親の否定的な言葉は、子どもの将来も、積極性も、基本的な人格さえも壊してしまいます。

親の言葉は魔法の言葉です。お気をつけて。

私が大学生の頃、高校生でとても才能のある、体格にも恵まれた選手がいました。

その子は、本当に才能がありました。日本ランキングでは20位代でパッとしていませんでしたが、時には「羨ましいな~」と思うような可能性を彼女に見てきました。

ただ、その子は、本当にメンタルが弱かった

その子の相談によくのっていましたが、その子の親はいつもいつも「夢ばかり追っていないで、どこかで見切りをつけて勉強しなさい」と言っていたそうです。

テニスの才能としては、次世代の日本トップを目指せた選手でしたが、彼女は親の魔法から逃れられず、いつしか「どうせテニスでは食べて行けない」とドロップアウトしてしまいました…。

わが子を卑下したり、可能性を否定するような親を、今だによく見かけますが、お子様がかわいそうで仕方なく、その子の将来を想像すると、無性に胸が苦しくなってしまいます。

 

その③:過干渉

これも上記と同様、テニスに限ったことではありませんが、ぜひやめていただきたいと思います。過干渉によって、お子様からみるみる主体性が消え、自己評価が低くなり、コミュニケーション能力もダダ下がりです。

自ら行動し、踏ん張り、自分を信じて進んで行けない人間は、プロテニスプレーヤーとしては食べていけません。

自分自身がお子様に対して過干渉か否か不安な方は、是非以下の動画を見てみてください。

参考動画を添付します。

 

3.練習時間の話

さて、最初の命題に戻りましょう。

「わが子をプロテニスプレーヤーにするために必要な練習時間は?」への回答をしたいと思います。

その回答は「オンコートで週に最低5日、オフコートでのトレーニングは、オンコート以外全部。」と答えたいと思います。

食事の話も上記の通り当然ですが、睡眠も体の回復のためにとても大切です。

質の高い睡眠を適した睡眠時間で規則正しくとっていくことを目的に寝具も検討してみましょう。



4.まとめ

何か目標を持つのも子ども、努力するのも子ども、全ての主体は子どもにあります。

親は子どもの思いに寄り添い、支え、時には傷ついた心を受け止め癒す、最後の砦となります。

どんな時も子どもを信じ、子どもにとっての最善を模索し、実践していく事こそ、親にできる子どもへの最大のギフトとなります。

偉大な選手の後ろには、偉大な親アリ!

親だって、とことん学び、子どもと共に世界を目指したいですね。