子どもが急に嘔吐した!!そんな時どうしますか?
いつもは元気な子どもが、急にお腹が痛い、気持ち悪い、と言って嘔吐!
そんなとき、あなたならどうしますか?
嘔吐の原因は、食べ過ぎ、風邪、胃腸炎など様々ですが、もし食中毒だったら!?
子どもは抵抗力が弱いため、対応が遅れると、重症化しやすく、死に至るケースもあります。
また、感染力の強い菌やウイルスが原因だった場合、一家全員ダウン…なんてことも。
そうならないためには、食中毒の原因となりやすいものや、症状、対処法をあらかじめ知っておき、速やかに対処できるように用意しておくことが大切です。
食中毒とは?
食中毒とは、食品由来の健康被害の総称で、その原因は、菌やウイルスといった微生物によるものや、貝やキノコなどの自然毒によるもの、農薬などの化学物質によるものなど様々です。
化学物質による食中毒は、近年、発症例は少なく、被害にある確率は低いです。
家庭で注意しなければならないものは、自然毒によるものと、微生物によるものの2つ。
自然毒によるものは、毒が含まれている食品をあらかじめ知っておき、食べないようにすることで防ぐことができます。
しかし、菌やウイルスは目に見えませんし、感染力の強いものも多いので、しっかりと対処法を覚えておく必要があります。
自然毒

ここからは、自然毒についてご紹介していきます。
毒素が含まれているから食べてはいけない!と一般的に言われている食べ物、あなたはいくつ思い浮かびますか?
- じゃがいもの芽
じゃがいもの芽や、緑色に変色している部分には、ソラニンという毒が含まれています。
芽や、変色している部分を見つけたら、深く取り除いてから調理しましょう。
- 毒キノコ
スーパーなどで販売されているキノコは安全ですが、見た目が食用キノコにそっくりな毒キノコも多いので、素人が採ってきたキノコはとても危険!キノコに詳しい方がチェックしていれば大丈夫なことが多いですが、図鑑やネットで調べて、大丈夫!とは思わないようにしましょう。
- 青梅、生ぎんなん
青梅には、リナマリンという毒が含まれています。少量なら食べても問題はないですが、たくさん食べると嘔吐や麻痺などの中毒症状を起こしてしまいます。
ぎんなんには毒ではないですが、同じように少量なら問題はないけれど、たくさん食べると中毒になる物質が含まれているため、注意が必要です。
特に、子どもは体が小さいため、大人と同じ量を食べて、子どもだけ中毒になってしまうこともあるそうです。
- フグ
フグの肝臓と卵巣には、テトロドトキシンという猛毒が含まれています。
毒を摂取すると、食後30分~5時間で、舌や唇が痺れはじめ、嘔吐、歩行困難などの症状が出ます。
毒の含まれている肝臓と卵巣を上手に取り除けば食べられますが、特殊な技術が必要です。家庭では絶対に調理しないようにしましょう。
- その他
彼岸花や毒セリ、トリカブトなど、普通は食用としない植物ですが、野生のワサビやセリ、ノビル(ネギと似た植物)などと間違えて食べてしまうことも。
バラエティ番組などで、サバイバルをする芸能人が、野生の植物を採取して食べる、という描写を時々目にしますが、絶対にマネしないようにしましょう。
細菌性食中毒

ここからは、菌が原因となる食中毒について紹介していきます。
- サルモネラ菌
肉や鶏卵やその加工品から感染することが多い菌で、潜伏期間は5~72時間。平均12時間程と言われています。
症状は、高熱、下痢、嘔吐です。食中毒の中でも特に重症化しやすく、患者の0.3~1%は死に至ると言われています。
熱に弱く、60℃以上の温度で20分加熱すると死滅するため、しっかり火を通したものであれば安全です。
特に注意が必要なのは生卵です。
旅館などでは、殻つきのままお皿に入った卵が提供されることがありますが、殻の表面に菌が付着していることが多いです。
卵が入っていたお皿に卵を割ってしまうと、殻についていた菌が卵の中身に移ってしまい、食中毒の原因になる場合も。
必ず別皿に割って食べるようにしましょう。
また、卵を割った時に殻が入ってしまった場合は、できるだけ生食せず、加熱して食べるようにすることも予防につながります。
- 下痢性大腸菌
大腸菌には様々な種類がありますが、特に有名なのは、腸管出血性大腸菌(O157)です。
元々ウシの腸にいることが多い菌なので、牛肉や牛レバーなどが感染源となる場合が多いです。
そのため、ステーキ屋さんや焼肉屋さんなどで感染することも。
潜伏期間は3~8日間で、激しい腹痛と水様性下痢、1~2日後には出血性下痢が出ることが特徴です。
熱に弱いため、しっかりと中まで火を通したものであれば安心ですが、レアに焼き上げたステーキやハンバーグは、注意が必要です。
また、焼肉やバーベキューをする時は、生肉を扱った箸を使って食事した場合、感染する恐れがあります。生肉を扱う箸と、食べる箸は必ず別に用意するようにしましょう。
また、感染力が強く、感染した人と接触しただけで感染します。
ちょっとおかしいな、と思ったら外出は控え、病院に行く際も、食中毒の恐れがある旨を必ず伝えるようにしましょう。
- 腸炎ビブリオ
お刺身やたたき、寿司といった、魚を生食した時に感染するおそれがある菌です。
潜伏期間は10~18時間といわれていますが、早い場合は2~3時間で発症するケースもあるそうです。
主な症状は、腹部違和感、上腹部通、水様性下痢、発熱、嘔吐で、特に下痢がひどく、時には血便が出る場合もあるそうです。
熱に弱い菌なので、加熱してあるものは安心ですが、生食する場合、新鮮なものを選んで食べるようにしましょう。
- カンピロバクター
鶏肉が原因となることが多い菌で、潜伏期間は2~7日平均3日です。
症状としては、下痢、腹痛、嘔吐が多く、サルモネラ菌とにています。
1~3週間後に、合併症として、ギラン・バレー症候群(筋力低下、歩行困難)を発症する場合があるのが特徴です。
熱に弱く、60℃以上で20分加熱すると死滅するため、中までしっかりと加熱してあれば安心です。
- ウエルシュ菌
熱に強い菌で、カレー、シチュー、煮魚など、肉や魚を使った煮物が原因となることが多いです。
潜伏期間は8~22時間、平均12時間で、水様性下痢、腹痛が主な症状で、重症化することは少ないです。
大きなお鍋でたっぷり作ったカレーは、中心の温度がなかなか下がりません。
そのため、小分けして、少量ずつ保存したり、すぐに冷蔵庫に入れて、できるだけ早く温度が下がるようにしたりすることが大切です。
- 黄色ブドウ球菌
とにかくいろいろなところに生息している菌で、人の手や髪の毛にもついています。
手に傷があり、化膿している場合は特に危険で、そこから菌が移って感染する場合が多いです。
潜伏期間は1~5時間、平均3時間ととても短く、悪心、腹痛、下痢、激しい嘔吐が特徴です。
重症化することは少なく、比較的短時間で回復します。
おにぎりなど、手で直接触れる食品は特に注意が必要で、調理する際は手洗いをしっかりした上で、手袋やラップを使って、直接手で触れないこと、食べる時も、しっかり手を洗ってから食べることが予防につながります。
- ボツリヌス菌
はちみつが原因となる、小児ボツリヌスが有名です。小さいお子さんがいる方は、一度は名前を聞いたことがある菌でなないでしょうか。
しかし、ボツリヌス菌中毒は小さいお子さんだけではないのです。
原因は、ニシンやハタハタ、アユ、ハヤなどの魚をいずしにして食べた場合に発症することが多いです。
潜伏期間は8~36時間といわれていますが、もっと早かったり、遅かったりする場合もあります。悪心、嘔吐、神経症状、視力低下、言語障害、嚥下障害、腹部膨満など、様々な症状が出るのも特徴です。
いずしはなれ寿司の1つなので、時間をおいて食べるものですが、できるだけ早く食べることが予防になります。
また、1歳以下のお子さんには、はちみつを与えないようにしましょう。
細菌性食中毒を予防するには?
細菌性食中毒を予防するには、「つけない」「増やさない」「殺す」の3つが三原則です。
「つけない」
まずは、原因菌をつけないように、生肉や生魚、生卵を扱ったら手を洗う。
まな板や包丁、お皿、お箸などもこまめに洗浄する。
「増やさない」
お刺身などの生魚はできるだけ早く食べるようにする。
煮物は速やかに冷蔵庫に入れる。
「殺す」
十分に加熱して食べる。
ウイルス性食中毒

最後に、ウイルスが原因となる食中毒を紹介していきます。
- ノロウイルス
冬になると大流行するノロウイルスですが、原因はカキなどの二枚貝の生食、又は加熱不十分です。
最近は、生食自体が原因ではなく、調理者が生ガキを触った手で、他の食品を触り、そこから感染するケースが多いそうです。
潜伏期間は1~2日で、悪心、嘔吐、下痢などが主な症状です。
便や嘔吐物から感染することが多く、アルコールでは殺菌できないので、塩素系漂白剤などを使って消毒する必要があります。
また、感染力が強いため、学校や家庭内で次々に患者が出る場合が多いです。
速やかに対処できるように、対処法を知っておく必要があります。
- A型、E型肝炎ウイルス
二枚貝などが原因となる場合が多いが、汚染された飲料水から感染するケースもあるため、ニュースなどで、肝炎ウイルスが流行したと報道されたら注意が必要です。
潜伏期間はA型で平均4週間、E型で平均6週間。
患者は中高年の男性が多いです。
ウイルス性食中毒を予防するには?
ウイルス性食中毒は、発生状況をしっかりと把握することがとても重要です。
特にノロウイルスは10月以降の冬場になると、毎年必ず流行します。
学校や保育園、職場などでの流行具合をよく注意し、手洗いうがいを徹底しましょう。
また、流行時に嘔吐などの症状が出た場合は、感染している可能性が高いため、速やかに対処が必要です。
嘔吐物の処理方法
- 使い捨てのマスク、手袋、エプロンを着用する。(エプロンは、ゴミ袋を着て、エプロン替わりにすると便利!)
- 嘔吐物をキッチンペーパーや古新聞など、使い捨てできるものでふき取る。
- 消毒液Aで消毒する。
- ドアノブ、手すりなど、感染している人や、嘔吐物を処理した人が手袋のまま触れた部分を、消毒液Bで消毒する。
- 嘔吐物をふき取ったペーパー類、マスクや手袋、エプロンなど、使ったもの全てを1つの袋にまとめて、しっかりと縛り、捨てる。
消毒液A(嘔吐物や便が直接触れたものの消毒用)の作り方
塩素系漂白剤10ml(ペットボトルのキャップ2杯分)と水500mlを混ぜる。
消毒液B(手すりやドアノブの消毒用)の作り方
塩素系漂白剤10ml(ペットボトルのキャップ2杯分)と水2500mlを混ぜる。
まとめ

食中毒を予防するためには
- 自然毒の種類を知り、毒性のある食品は食べないようにしよう
- 食中毒菌の特性を理解し、菌を「つけない」「増やさない」「殺す」を心がける
- 感染力の強い食中毒の場合は、人にうつさないように外出を避け、病院でも速やかに申告する
- ウイルス性食中毒は、流行状況を把握し、手洗いうがいを心がける
- ノロウイルスの対処法を覚えて、いざというときにはすぐに対応できるようにする
食中毒は、一歩間違えると死に至る、本当に危険なものです。
しかし、こうやって見ていくと、病気と違って予防できるものも多いですよね。
大人と違って抵抗力の低い子どもは重症化しやすいです。
日頃から予防を徹底し、特に小さいお子さんの場合は、食べたものをしっかり把握し、保育園や幼稚園、学校などでの流行具合にも目を向けるようにしたいですね。